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ハチナイ、一周忌
282 :
ぷにぷに名無しさん
:2025/12/21(日) 14:11:49.15 ID:Mvo73N6g
野球部も1年目の秋を迎えていた。
校庭の木々は赤く染まり、運動の季節と食欲の季節が重なる、心地よい秋の空気が漂っている。
そんな中、この季節が持つもう一つの顔――芸術の秋を、ふと思い出させるように。
彼女はそこにいた。
天草琴音。
野球部の一員でありながら、芸術家気質で絵を描くのが大好きな彼女。
僕が何気なく「秋だなぁ」と呟きながら見つめていた木を、琴音は真剣な眼差しで眺めていた。
両手に画材道具とスケッチブックを抱え、木の周りをぐるぐると回りながら、最良のアングルを求めている。
「何してるんだ、天草?」
と、つい声をかけてしまった。
見ればわかるよな。絵を描く準備をしているんだ。邪魔をしたかな? と思ったが、そんな心配は杞憂だったようだ。
彼女はくるりと振り返り、柔らかな笑顔を浮かべて答えた。
「あっ、監督くんだぁ。今ねぇ、いい感じの木が見つかったから、一番綺麗なアングルを探してたのよぉ。
監督くんも、無意識にその木を見てたし……芸術の素養があると思うよぉ」
邪魔どころか、褒められて少し面食らった。
それならば――。
今日は野球部も休みだし、ちょうど野球から少し離れて落ち着きたかったところだ。
「天草の絵を描いてるところ、見ててもいいかな?」
「絵を描いてる所を見るの? 変わってるねぇ」
そんなことを、変わり者の彼女に言われてしまった。
「今、練習メニューで行き詰まっててね。少し野球から離れて頭を冷やそうかと。多少無理やりでも方向を変えないと、身体が勝手にバッティングセンターに向かいそうでさ」
「なるほどー。確かに、わたしも絵を描いてて行き詰まったときは、野球部の練習を頑張ることにしてるよぉ」
「……そこは、いつも頑張ってくれよ。後で天草のメニュー、ランニング少し多めにしといたからな」
「野球から離れてないよ、監督」
そう言いながら、彼女はようやくアングルが決まったらしく、その場にしゃがみ込んでスケッチブックを開いた。
筆を走らせる手元を、秋の柔らかな風が優しく撫でていく。
絵を描き始めた琴音を、僕は少し離れたベンチに腰掛けて眺めていた。
綺麗だ。
いつものふんわりとした雰囲気も可愛らしいけれど、絵に集中しているときの真剣な横顔が、特別に輝いて見える。
紅葉が舞い散る光景と重なって、まるで彼女自身が一枚の絵になったようだった。
「ねぇ? 監督くん」
突然声をかけられて、ドキッとした。
もしかして、僕の考えを見抜かれたか?
「監督くんもさ、ボールペンとか鉛筆は持ち歩いてるよね? ノートも、練習メモ用に常に持ってるよね?
何か描いてみたら? 練習用のノート使いたくないなら、わたしのを貸すよぉ。
後で見せ合いっこしよ?」
そんな提案に、僕は少し戸惑った。
彼女の大事な画材を落書きに使うのは悪い気がする。
「画材はいいよ。でも、せっかくだから……ノートに絵でも描かせてもらおうかな」
そう答えて、僕は練習ノートのいちばん後ろのページを開いた。
拙いながらも、目の前で絵を描いている琴音の姿を、そっとスケッチし始めた。
鉛筆の音だけが静かに響く。
いつの間にか、二人とも時間を忘れて没頭していたようだ。
気づけば辺りは薄暗く、秋の夜の肌寒さがじわりと忍び寄ってきていた。
「天草、そろそろ暗くなってきたし……また今度にしないか? 家まで送るよ」
「うーん、あと少しだったんだけどなぁ……。
休日だし一日中ハチナイと向き合いながら
最近また琴音様すこの流れが戻ってきたのを感じて書いてるが、何で俺休日潰してハチナイに向き合ってるんだ?と感じ始めたので休んでええよな?😅
その内完結したら定時とpixivに上げるからええよな?😅
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