出会った始めは険悪だったけど、まさか食卓を囲う仲になるとはね。フリックルは嫌じゃないの？って。そしたら
『別に嫌って事はないわよ。貴方の無神経さと馬鹿さ加減と、察しが悪いとこは嫌いだけど』
『あぁ、あと食べ方がちょっと汚いのも嫌ね。寝相も悪いし、よく魘されてて煩いし』
って辛辣に返されるんだ。
魘されるのはエスピーのせいだって弁解しつつも結構ダメ出しされて凹んでいる時に、少し時間を置いてフリックルがこう溢すんだ。
『……まぁ、いいか……こうして貴方の側に付くのには、私にも利がある事だから…それだけよ』
それは、世界樹教団教主の側近って云う肩書が得られるから？なんて返すと
『ぷっ…貴方そんなに高く自分の価値を見積もってるの？笑わせないでくれる？』
ってサラッと一蹴されるんだ。
『まさか……気付いていないの、貴方？…ふ…その顔はな〜んにも気付いてないって顔ね』
『分かった上で私を側に置いていると思ってたんだけど………本っ当に、安心する程のマヌケねえ…可愛い奴♪』
って教主をからかいながら、こう続けるんだ。
『貴方が食卓で私に漏らす愚痴に、どれだけ多くの情報が含まれているか……分からないかしら？』
『妖精側の内情…エルフ側の内情……今日の話は幽霊に、精霊に…いつもいつも怖ぁ〜い顔してる司祭長様への不平不満にぃ……』
『あら？急に立ち上がってどうしたのかしら？私を追い出す気？』
いくら鈍い教主でも、ここで漸く気が付くんだよね。
『そう…今更出来ないわよねぇ？これだけ多くの情報を知られた私を、態々外へと放流するだなんて事は……』
『まぁ今は安心なさい？溜め込んだ情報は、ここぞで使ってこそ力を発揮するものよ。今はまだ、その時じゃないわ』
『あっはは♪情けない顔ね。そうやって後悔してなさい？世界樹教団の教主…その懐に食い込んだ茨の棘は、硬くて深くて、鋭くて……一生抜けはしないわよ…？ ふふふ…♪』
うちのフリックル……本当にかわいいな……この魔女が一番かわいい、本当に……。
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