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原神総合スレPart15954

113 :名無しの旅人withYomiHolic@転載禁止【レベル:78】 (スウジノオトモダチ I4xw-QqlB) (V):2025/03/19(水) 18:34:53.73 ID:ROJFU7Bg
狂気のようにも見えるその行動を、彼はしつこく繰り返す。エラーメッセージが何かのきっかけで消えることを、ただ祈りながら。
 同じ結果が返ってくるたび、彼の心は擦り切れ、すでに限界を超えている。

「鳴潮も……はぁ、はぁ……ダメだ……🥺」

 瞼をきつく閉じる。脳内を駆け巡る光景は、つい昨日までの幸せだったはずの日常だ。PCに向かい、攻略情報を漁り、夜通しフレンドとボイスチャットで笑い合い、次の日の昼まで寝て……まさに「何も生み出さないニート」そのものだったが、少なくとも彼のなかには充実があった。
 あの時間はもう戻らない。たとえ2030年でなくとも、ゲームが全滅しているという事実だけで、ハラジにとっては地獄に等しかった。

「も、もう勘弁してくれ……やめちぇええええ😭……」

 ベッド脇で膝を抱え、顔を伏せたまましばらく呆然とする。脳のどこかが焼け焦げているように、思考が先に進まない。そんな状態で、浅くなった呼吸だけが規則的に、しかし苦しそうに動いている。
 心臓が早鐘を打つ音を聞きながら、彼は頬を伝う汗を指先で拭った。滴った汗が床に落ち、じわりと広がっていく。その小さなシミをぼんやりと眺めながら、何かを訴えかけるように唇を震わす。

「ははっ……ギャハハハ🤣……いや……ほんと、どうしちゃったんだよ……」

 乾いた笑いは、自分を嘲笑するかのようにとめどなく漏れてくる。笑い声と同時に涙がこぼれる。泣いているのか笑っているのかも判別つかない。

 視線を彷徨わせると、ふと部屋の隅に置いてある箱に目が止まった。そこにはまだ新品未開封の限定フィギュアやグッズが詰まっている。いつか売れば資金になると信じ、課金の足しにと備蓄していたコレクションだ。
だが、サービス終了した今となっては何の価値もないかもしれない。2030年という現実が本当なら、そのグッズを欲しがる人間がいるかどうかすら怪しい。

 絶望の重みに耐えきれず、彼はうずくまる。畳みかけるように冷たい空気が部屋を支配する。このどうしようもない事態の前で、彼は何もできない。誰も助けてくれない。

「……クソっ……🥺」

呼吸がどんどん浅くなるのを感じる。肩が上下に激しく波打ち、吐く息は涙と混じって濡れた悲鳴となる。スマホ画面をもう一度見つめるが、そこには何の救いもない。カレンダーは、相変わらず2030年を表示したまま。

 すがるように壁に立てかけてある古びた鏡を覗いてみた。そこに映る自分の姿は、覚えているよりも酷くやつれたように思える。目の下には深いクマが刻まれ、唇は乾燥で荒れている。髪は脂ぎっていて、白髪がところどころ混じり始めているのが妙に生々しい。いつからこんなに老け込んだのか――それとも最初から、こうだったのか。

「はぁ、はぁ……嘘だ、嘘だ……頼む……」

 最後の希望を失ったように、彼はスマホを握りしめたまま目を閉じた。想像するのは元の生活だ。毎朝(といっても昼近く)目を覚まし、スマホでゲームを起動し、大好きな推しキャラを操作して、夜になれば配信を見てはスパチャを投げ、さらに夜通しマルチで遊ぶ。ひどく崩れた生活リズムのなか、それでもゲームがあるからこそ救われていた。

「もう、どうしてくれるんだよ……」

 自問自答を繰り返しながら、彼の表情は恐怖と哀しみにくしゃくしゃに歪んでいる。涙の跡が頬を冷たく濡らしているが、その湿り気さえも生々しい現実の感触でしかない。


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