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【崩スタ】崩壊スターレイル★497【スタレ】

151 :名無しの開拓者@アフィ転載禁止 (ブイブイ snev-UBqZ) (M):2024/03/11(月) 20:38:11.81 ID:SMP5BAsU
「ピノコニー行きのチケットはどこだ」

黄泉は、冥火大公が部下の死骸に躓きながら、慌てふためいて逃げようとする行く手を塞いで、恐喝した。
冥火大公は、黄泉を突きのけて逃げようとする。黄泉はまた、それを行かすまいとして押し戻す。
二人は死骸の山の中で、しばらく、無言のままつかみ合った。しかし勝敗は、初めから分かっていた。
黄泉はとうとう、冥火大公の腕を掴んで、無理にそこへねじ倒した。ちょうど、鳥の脚のような、骨と皮ばかりの腕である。

「ピノコニーのチケットはどこだ。言え。言わないならこの場で斬り捨てるぞ」

黄泉は、冥火大公を突き放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、黒い鋼の色をその目の前へ突き付けた。
けれども、冥火大公は黙っている。
黒焦げの頭骨をわなわな震わせて、肩で息を切りながら、目を、眼球が瞼の外へ出そうになるほど見開いて、おしのように執念く黙っている。
これを見ると、黄泉は初めて明白に、この冥火大公の生死が、全然、自分の意志に支配されているということを意識した。
そうしてこの意識は、いままで険しく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。
後に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の安らかな得意と満足度が残るばかりである。
そこで黄泉は、冥火大公を見下ろしながら、少し声を和らげてこう言った。

「私は巡海レンジャーなどではない。ただの虚無の使令だ。だからお前に縄をかけてどうしようということはない。ただ、ピノコニー行きのチケットを私に渡してくれればいい」
「ぷ、ぷゆゆ…🥺」

黄泉が冥火大公の服に手を伸ばし、ポケットの中身を探る。
冥火大公は見開いていた目を、いっそう大きくして、片手でポケットを漁る黄泉がもう片方の手で掴んでいる、身の丈ほどもある太刀を凝視した。
まるで砂浜に打ち上げられたぷゆざらしのような、潤んだ目で見たのである。
それから、露出した黒焦げの顎骨を、何か物でも噛んでいるように、動かした。
細い喉で、喉仏が動いているのが見える。
その時、その喉から、烏の鳴くような声が、あえぎあえぎ、黄泉の耳へと伝わってきた。

「ぷゆゆ…🥺」

黄泉は、冥火大公がぷゆゆ🥺しか言えないことに失望した。
そうして左胸ポケットからピノコニー行きのチケットを探り出すと、それを豊満な胸の谷間にしまい、冥火大公を突き飛ばした。

「私以外にも来客がいるようだ。私が来たことを口外すれば、この刀で斬り落とす😎」
「ぷゆ🥺」

ぷゆざらしのように震える冥火大公に背を向け、黄泉は自身が乗ってきた船が停泊しているドッキングステーションへ向かった。

黄泉が去ってから数刻後、花火が冥火大公の元にやってきた。
黄泉の宇宙船がアナイアレイトギャングのステーションを離れた直後にやってきて、乗り込んできたのだ。
おもちゃの拳銃をぷらぷら揺らしながら、死体だらけの船内を進んでいると、コックピットの端でうずくまる冥火大公を見つけた。

「あれー?ねえねえ、壊滅サークル壊滅しちゃってるんだけど、何があったの?山羊頭ちゃん🤣」

花火は床に倒れ込んだ冥火大公の角を掴んで何度か振るってみたが、冥火大公は焦げた頭蓋をカラカラ鳴らすだけで、反応がない。

「あー、やる気ないならもういいよ😡。花火、そういう人きらーい! 芦毛ちゃんにプレゼントしたい物があるから、その服全部もらうね」

花火は、素早く冥火大公の服を剥ぎ取った。
それから、突然服を剥かれ正気に戻ったのか、足にしがみつこうとする冥火大公を、手荒くアナイアレイトギャングの死骸の上に蹴倒した。
コックピットの出口までは、わずかに五歩を数えるばかりである。花火は、はぎ取った冥火大公の服を脇に抱えて、瞬く間に部屋から出て行った。

「ぷ…ゆ…🥺」

しばらく、死んだように倒れていた冥火大公が、部下の死骸の中から、その裸の体を起こしたのは、それから間もなくのことである。
冥火大公は、つぶやくような、呻くような声を立てながら、まだ燃えている頭頂部の火の光を頼りに、操縦席まで、這って行った。

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